リピーターを呼び込む『ポイント制度』。公共施設における新しいCRM戦略
なぜ「ポイント制度」がリピーター獲得に効くのか
イベントや公演を継続的に開催するうえで重要なのが、初めての参加者をリピーターに変えていくことです。その手段として有効なのが「ポイント制度」。1ポイント=1円として利用できる仕組みを導入することで、次回の参加意欲を高め、顧客ロイヤルティを強化できます。特に会員登録や継続更新と組み合わせることで「お得だから続ける」という動機づけが働き、安定した集客基盤の構築につながります。
ポイント制度の基本的な仕組み
チケット販売システムに搭載されたポイント制度はシンプルで、顧客にとっても分かりやすい設計です。
- ・チケット購入時、会員登録・更新時にポイントが付与される
- ・貯まったポイントは、1ポイント=1円換算で次回以降のチケット購入時に利用可能
これにより、顧客にとって「買えば買うほどお得になる」という実感を得られます。結果的に主催者にとってはリピーター獲得の強力な武器となるのです。
ポイント制度の運用
チケット販売システムでは、主催者側のポイント制度の運用に手間はかかりません。
- ・管理画面での設定により自動でポイント付与
- ・顧客登録画面で手動調整も可能
- ・予約キャンセルの際、利用ポイントと獲得ポイントを元に戻す処理も可能
ポイントは購入金額に応じて自動で付与されますし、必要ならば手動でポイント付与することもできます。また、予約キャンセルの際に利用ポイントと獲得ポイントを元に戻す処理ができることで、ポイント制度に関するトラブルを防止できます。
柔軟に設定できるポイントルール
主催者側の管理画面では、さまざまな条件を細かく設定できます。
- ・会員区分ごとに付与率を設定(例:一般会員は100円=1P/プレミアム会員は100円=2P など)
- ・利用単位・最低利用ポイントの設定(例:1ポイント単位で利用/5ポイント単位で利用 など)
- ・有効期限の設定(例:無期限/最終購入日から6ヶ月後の末日 など)
これらを駆使することで、「入会時の特典ポイント」「更新時の継続ボーナス」「一定期間で失効するポイントによる再来場促進」など、多彩なマーケティング施策が可能になります。
購入画面でのポイント表示と操作
ウェブサイトよりチケットを購入する顧客にとっても利用しやすい画面設計となっています。
- ・予約画面に保有ポイントが表示され、すぐに利用できる
- ・申込確認画面では利用したポイント・獲得予定ポイントが明確に表示される
- ・マイページでは過去のポイント履歴が確認できる
この「わかりやすさ」がチケット購入者に安心感を与えます。
↓
ポイント制度導入のメリット
ポイント制度は単なる割引ではなく、中長期的な運営において次のような効果をもたらします。
-
1. リピーターの育成
来場者が「またこのイベントに参加しよう」と思う動機を作れる。
-
2. 顧客ロイヤルティの強化
ポイント残高があると「消費したい心理」が働き、再来場率が上がる。
-
3. マーケティング施策への応用
「入会キャンペーン」「誕生日ポイント付与」など多様な施策を展開可能。
公共施設における新しいCRM戦略
近年、公共文化施設やホール、体育館といった場でも「CRM(顧客関係管理)」の考え方が注目されています。かつては「顧客は市民であり、宣伝や関係性構築は不要」と捉えられがちでしたが、少子高齢化や文化消費の多様化が進む中で、いかに継続的に来館してもらうかが大きな課題となっています。
その解決策のひとつが、チケット販売システムに搭載されたポイント制度をCRM戦略の一部として活用することです。例えば、施設の年間会員制度にポイントを組み合わせれば、更新率の向上や利用回数の増加が期待できます。また、ポイント履歴や来館データを活用することで「どの年代層がどのイベントに参加しているか」「どの時期に来館が集中するか」といった傾向を把握でき、企画や広報施策に反映できます。
さらに、CRMの観点ではパーソナライズされた情報提供が鍵となります。過去に観劇した演目に関連する次回公演を案内したり、子ども向けワークショップ参加者をファミリー向けイベントに招待したりと、顧客一人ひとりに寄り添ったアプローチが可能になります。これにより「自分に合った情報が届く」という顧客の満足度が高まり、再訪率の向上につながります。
公共施設の場合、過度な商業主義は敬遠される一方で、地域住民との持続的な関係構築は運営の安定に不可欠です。ポイント制度をCRM戦略に組み込むことで、「市民サービスの向上」と「施設運営の持続性」の両立が可能となり、公共性と顧客ニーズのバランスを保ちながら新しい時代の施設運営を実現できるでしょう。
上のモデル図は、公共施設における新しいCRM戦略を示しています。
顧客が会員登録を行うと同時にポイント制度がスタートし、イベント参加や施設利用のたびにデータとポイントが蓄積されます。その情報を分析し、顧客の属性や行動傾向に応じてパーソナライズされた案内を配信することで、再来場や会員更新を促進できます。
さらに、顧客は貯まったポイントを使うことでお得感を実感し、施設への愛着が深まります。結果として「市民サービスの向上」と「公共施設の持続的運営」を両立する新しいCRM戦略が完成します。
注意点と運用のポイント
ポイント制度を有効に活用するには、以下の点に留意する必要があります。
- ・付与率と経費のバランス:過剰なポイント付与は利益を圧迫する可能性があるので要注意です。
- ・有効期限の設計:失効期限を設けることで「期限切れ前に利用しよう」と再来場を促せます。
- ・返金・キャンセル時の対応:システムで自動処理させ、手動処理で起こるトラブルを防ぎます。
よくある質問(FAQ)
- Q1. ポイントが付与されるタイミングはいつですか?
- A. ポイントは、入金後、あらかじめシステムにて設定された日数を経過すると付与されます。付与済みのポイントは次回以降のチケット購入時に利用可能です。
- Q2. ポイントの有効期限は設定できますか?
- A. 管理画面より柔軟に有効期限を設定できます(無期限・最終購入日からの指定・年月指定など)。これにより「期限が切れる前に使いたい」という心理を利用して再来場を促すことができます。
- Q3. 予約キャンセルや返金の際、利用したポイントはどうなりますか?
- A. システム上で自動的に処理できます。利用したポイントは返還され、獲得予定ポイントは取り消されます。これにより不正やトラブルを防止できます。
- Q4. 特別キャンペーンでボーナスポイントを付与することはできますか?
- A. 可能です。管理画面から手動でポイントを付与できるため、キャンペーンやイベントごとの特典施策として柔軟に活用できます。
- Q5. 会員登録をしていないとポイントは貯められませんか?
- A. ポイント制度は会員向けの特典機能として設計されています。非会員のお客様には付与されず、利用もできません。リピーター獲得のために「会員登録を促す仕組み」として効果を発揮します。
- Q6. チケット代以外にもポイントは使えますか?
- A. ポイントはチケット購入時にのみ利用可能です。会費や各種手数料の支払いでの利用はできません。
まとめ
ポイント制度には、単なる割引以上の価値があります。顧客に「また利用したい」と思わせる仕組みであり、売上アップとリピーター獲得の両立を可能にします。
チケット販売システムに備わる管理機能を活用すれば、運営者の負担は少なく、柔軟なマーケティング施策を実現できます。リピーターを呼び込み、イベントや施設運営を長期的に成功させるために、ポイント制度は欠かせない仕組みといえるでしょう。
この記事を書いた人
株式会社パストラーレ 「いつでも発券(チケット販売) 」「いつでも貸館(施設予約)」「いつでも学習(講座運営)」など、公共文化施設向けのクラウドサービスを提供。全国の地方自治体やイベント主催者への継続的なリサーチを行い、すべてのユーザーが恩恵を受けられるよう、システム全体のアップグレードを重ねています。お客様とともに、サービスも企業も進化し続けることを信条としています。
