コラム

チケット高額転売問題と『いつでも発券』としての取り組み

チケット転売問題に関するイメージ

1.深刻化するチケットの高額転売問題とは?— 人気公演で多発する不正転売の現状と課題

近年、チケットの高額転売がますます深刻化し、エンタメ業界やファンの間で大きな問題となっています。音楽ライブや演劇、スポーツイベントなどの人気公演では、正規ルートで購入されたチケットが、インターネット上のフリマアプリや転売サイトを通じて、不正に再販売されるケースが後を絶ちません。とりわけ、アーティストの全国ツアーや初日公演、有名スポーツチームの試合などでは、そのチケットが2倍〜10倍以上の高値で転売されていることもあります。

こうした「高額転売チケット問題」が発生する背景には、入手困難な公演ほど需要が高まり、それに目をつけた業者や個人がチケットを大量購入し、営利目的で転売する構造があります。一部の悪質な業者は、専用の「自動購入ツール(チケットボット)」を使って公式販売開始と同時に大量のチケットを確保し、その後オークションや転売プラットフォームで販売します。

このような事態を受け、2019年には「チケット不正転売禁止法 」が施行されました。この法律では、「興行主の同意を得ずに、販売価格を超える金額でチケットを転売すること」が禁止され、違反者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるとされています。一見、法的な対応により抑止力が高まったようにも見えますが、実際にはチケットの譲渡が可能なプラットフォームや、海外の転売サイトを利用した抜け道も存在し、完全な解決には至っていないのが現状です。

さらに、紙チケットやQRコードのみで入場できる形式では、本人確認が行われないため、他人名義のチケットでの入場も容易にできてしまいます。この点が高額転売を助長する一因にもなっており、システム面での根本的な見直しが求められています。

チケットの高額転売は、単に「不正に利益を得る人がいる」という問題にとどまらず、公演主催者のブランド価値の低下、ファンとの信頼関係の毀損、さらにはイベント自体の健全な運営に影響を及ぼす非常に深刻な課題です。正規の方法で購入したファンが安心して観覧できる環境を整えることが、業界全体の持続的な発展のためにも不可欠となっています。

2.なぜ転売が防げない?従来システムの限界

チケット転売に関する課題を示す図

高額転売の問題が繰り返される背景には、従来のチケット販売・管理システムが抱える構造的な課題があります。特に、紙チケットを中心とした発券方式や、入場時の本人確認が徹底されていない現状では、第三者によるチケットの譲渡や転売を完全に防ぐことは困難です。

従来型のチケット販売では、購入者がチケットを一度取得してしまえば、その後の流通や使用状況を追跡することができません。紙チケットは物理的な所有物であるため、実際の購入者と使用者が異なっていても確認のしようがなく、第三者への譲渡・転売も容易です。この“匿名性”の高さが、転売市場の温床になっているのです。

また、Web販売においても、購入者情報が記録されている場合であっても、入場時に本人確認が求められなければ、転売チケットによる不正入場を防ぐことはできません。QRコードやバーコードによる入場管理が普及している現在でも、多くのケースで“読み取りによる通過”が中心であり、そのQRコードが誰に発行されたものかを会場側で照合する仕組みはほとんど存在していません。

一方で、主催者側にも「厳格な本人確認」に踏み切れない事情があります。イベント当日に本人確認を行うとなると、入場ゲートでの混雑や人員コストの増加、オペレーションの複雑化といった新たな課題が生じるため、現場対応の現実性が低いのです。そのため、現場での確認に頼らずに、不正転売自体を未然に抑止できる仕組みが求められています。

このように、従来システムの限界とは「チケットの流通を管理できない」「本人確認が形骸化している」「主催者側の負担が大きい」といった3つの要素が複合的に絡んでおり、結果として転売行為を防ぎきれない構造が長年温存されてきました。
さらに、技術的な制約だけでなく、「転売に対する社会的認識の甘さ」も問題の一因です。違法転売と知りつつ購入するユーザーが後を絶たない以上、市場全体としての“正規チケットを正規ルートで入手する”という意識改革も必要です。

3.『いつでも発券』の不正転売防止機能 不正な大量購入防止機能 電話番号認証

不正転売対策の機能図

前項で述べたように、従来のチケットシステムでは購入後の流通や使用状況を管理する仕組みが不十分で、高額転売の温床となってきました。

これらの課題に向き合って開発された『いつでも発券』は、システムの設計段階から不正転売の抑止と本人認証を意識し、複数の対策機能を標準搭載しています。

まず大きな特徴として挙げられるのが、電話番号認証です。

『いつでも発券』でチケットを購入するために必要なアカウント作成は、申込者本人の電話番号による2段階認証を必須にするという設定が可能です。(設定OFFのまま使うことも可能です)

これにより、単純なチケットボットによる購入を防ぐことができます。日本語による電話音声案内であり、日本語が理解できることも必須であります。

悪意の無いアカウント重複作成を防ぐこともできて、使い捨てアカウントを大量に作成することができない『いつでも発券』は、公平なチケット販売の基盤づくりに貢献します。

4.主催者・観客双方に安心をもたらす仕組み


チケットの高額転売や不正入場への対策が進む中で、重要となるのは「主催者にとっての運営しやすさ」と「観客にとっての購入・入場時の安心感」の両立です。いずれか一方に過度な負担や不便がかかるようでは、健全なチケット流通は実現できません。『いつでも発券』は、このバランスを最も重視した設計思想を持つチケットシステムとして、主催者と観客の双方に安心を届ける仕組みを提供しています。

まず主催者側にとっての最大の利点は、チケット販売・管理・入場をすべて一元的に運用できる点です。販売後のチケット流通状況や入場ステータスをリアルタイムで把握できるため、「どの券種が転売されやすいか」「どの時間帯に混雑が集中するか」などのデータが可視化され、次回以降の販売戦略や人員配置の最適化にもつながります。

また、複雑な販売条件(会員限定先行、抽選販売、セット券、ポイント利用など)にも対応できる柔軟性があるため、従来は複数システムで分担していた業務を『いつでも発券』一つで完結させることが可能です。操作画面も直感的で、現場オペレーターが短時間で習熟できるUI設計がされており、スタッフ教育の手間を減らせることも見逃せないメリットです。

一方で、観客側にとっても『いつでも発券』は非常に安心感のある仕組みです。正規ルートで購入したチケットが確実に使えるという基本的な信頼はもちろんのこと、チケット情報がスマホ上に安全に保存され、紛失や偽造の心配がないこと、入場時もスムーズな認証でストレスなく通過できることなど、ユーザー体験の質が高く保たれています。

また、万が一のトラブル(例:公演中止・延期)時にも、購入者情報と紐づけられた状態で管理されているため、払い戻しや再配信の対応もスムーズ。
さらに、ユーザー自身がマイページ上で購入履歴やポイント残高、入場履歴などを確認できる機能もあり、透明性と自己管理性の高さがユーザーの安心感に直結しています。アカウント単位でのログイン制を採用していることで、不正ログインや情報流出にも厳格なセキュリティ対策が施されており、個人情報保護の観点でも安心です。

このように、『いつでも発券』は、主催者にとっては効率的な販売と堅牢な入場管理が行える運営基盤を、観客にとっては信頼できる購入体験をそれぞれ提供しています。双方のニーズをバランスよく満たすことが、健全なチケット市場を支える鍵であり、イベント成功の礎でもあるのです。

5.2025年以降を見据えた進化

高額転売や不正入場といった問題への対応が進む中、チケット販売システムは“守り”の機能だけでなく、“攻め”の進化も求められる時代に入っています。2025年以降、社会全体のデジタル化と顧客体験の高度化が進むなかで、チケット業界もまた新たな局面を迎えようとしています。『いつでも発券』は、こうした未来を見据えて常にアップデートを重ねる進化型のシステムとして、多様化するニーズへの対応を強化しています。


『いつでも発券』はアップデートによる継続的な進化も特長のひとつです。チケット業界は法律や規約、プラットフォームの仕様変更など、環境変化が多い分野ですが、『いつでも発券』ではクラウド型システムの利点を活かし、各種機能が随時更新される仕組みを採用しています。新しい法制度や顧客ニーズ、販売形式のトレンドに迅速に対応できる柔軟性は、これからの時代において非常に重要な要素です。

『いつでも発券』は、単なる“発券ツール”ではなく、チケット流通全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支えるプラットフォームとして、これからのチケット業界をけん引していきます。2025年以降の環境変化に柔軟に対応し、主催者・観客・システム管理者すべてにとって“次の標準”となるよう、継続的な進化を重ねていきます。

さいごに

チケットの高額転売や不正入場といった課題は、今やエンタメ業界全体にとって深刻な問題となっています。従来の紙チケットや簡易的な入場管理では十分な対策が難しく、業界全体に「信頼性」と「効率性」を兼ね備えた新たなシステムが求められています。

2025年以降も進化を続けながら業界のDXを推進していきます。
不正のない、公平で快適なチケット流通を実現するパートナーとして、ぜひ『いつでも発券』をご活用ください。

この記事を書いた人


株式会社パストラーレ
いつでも発券(チケット販売) 」「いつでも貸館(施設予約)」「いつでも学習(講座運営)」など、公共文化施設向けのクラウドサービスを提供。全国の地方自治体やイベント主催者への継続的なリサーチを行い、すべてのユーザーが恩恵を受けられるよう、システム全体のアップグレードを重ねています。お客様とともに、サービスも企業も進化し続けることを信条としています。